片付け・掃除

青梅市のアパートで《自立に失敗した息子さんの遺品整理》


親心が裏目になったお話です。部屋に引きこもる息子の自立で一人暮らしが悲しい結末になってしまいました。親は、子供より先に逝かなくてはなりません。自立できない子供を残して逝くのは、親として悲しく悔いが残ります。何とか自立をさせる親心は、どんな形でも深い愛を感じ取ることができますね。(合掌)

遺品の整理作業もスタッフは、黙々と進めました

部屋を片付けてほしいと奥さんからお問合せいただきました。ご年齢は、70代後半でしょうか。息子さんが住んでいたというアパートの前で待ち合わせしました。アパートは、古い一般的な作りで敷地が広くトラックは自由に止められました。お電話で、様子をお聞きしていたので、トラックとスタッフの手配をしてきましたので、商談がまとまれば、その場で作業し、夕刻に終了する予定です。先発は、スタッフ2名で2tトラック一台を手配しお伺いしました。約束の時間に到着し、お部屋のドアをたたいてみてもいません。15分ほどすると小柄な年配のご婦人が来られました。ご婦人は、この部屋の住人の方のお母さんです。

ご挨拶をし、部屋のドアを開けていただきました。おカウさんは、部屋の中に入ることなく、玄関前で「部屋の中の物は、すべて撤去してください」といいました。残す物はありませんかと尋ねると。「部屋を返すので、すべて廃棄してほしい」ということです。

その後、お母さんは、ここまでの経緯をお話になりました。
10日前に救急車で病院に運ばれ亡くなりました。家に引きこもりな息子で自立させようと主人と色々手を打っていたんです。自立させるには、一人暮らしさせてみてはということでこの部屋を借りて住まわせていた結果、栄養失調で亡くなったのです。1年くらいここで暮らし、時折、主人に隠れて様子を見に来ていたのですが、残念です。部屋は私たちが片付ければよいのですが、もう年で片付けできる力もないのでお願いしました。

夕方には終えますのでと改めてきていただくことになりました
間取りは、2K、1階で部屋の掃き出し窓から搬出ができるため1日で片付けを終えることができます。ただ、トラック2台近くになりますので、先発で来ているのは、スタッフ2名とトラック一台です。この2名で部屋の荷物をまとめとトラックに積み込みます。その時間は、3時間程度でそのあと、もう一台のトラックが3時ころにこちらにトラック空で来る予定です。トラックをチェンジし積んでいるトラックに乗り換えて倉庫に戻ってもらう段取りです。作業は、順調に進みほとんど部屋のゴミを積み込み終え、最後の仕上げに掃除と点検で終えるまでになりました。

部屋に入らず、外からじっと部屋を見ていた父親に気が付きました
部屋を掃き掃除しながら収納に撤去漏れがないかを確認していると外からこちらをじっと見ているご老人に気が付きました。きっと息子さんのお父さんだろうと、掃除は、もう一人のスタッフに任せ、お父さんのところに行き声を掛けます。「後、10分程度で終えます。今掃除と最後の確認をしてますので」とお返事しました。

するとお父さんは、どんな様子でしたかとお聞きになりました
きっと自立を息子にさせたいと思い、息子には、手を差し伸べないことが最良と考えていたのでしょうか?。それともお父さんには、この方法しか考えられなかったのでしょうか?。いずれにしてもお父さんは、息子さんの自立を強く願っていたに違いありません。親は、子を残して先に逝くものです。残したこの行く末を心配しない親はいませんですから。

私は、それを察していましたので、
「息子さんは一生懸命自分なりに自立に向け頑張っていたと思いますよ。部屋のあちこちに、書き損じた履歴書が捨てられていました。また、アルバイトの情報誌もありましたよ」と正直にお伝えしました。お父さんは、小さな声で「そうですか」とうなずかれ、奥さんと一緒にアパートを後にされました。(合掌)

編集室よりコメント

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